真空管アンプ工房
素晴らしいアンプには感動を伝える力が有ります!
いつも色あせない色気と演奏者のテクニックや感情迄も伝えるアンプです。
無帰還も負帰還もアンプ設計にはどちらも必要です。
心地よい音楽再生は電気信号に音を変換じた時から位相の狂いが不快感を刺激しますが、何回と無く原音再生機の言葉を耳にして遠く迄足を運んだあげくは、がっかりの連続は幾ほどのユーザーが経験した事か。
なかなかマニアの多くの方に統一した良い音は通用しないようですが、ともあれ、おおかたすばらしい音といいえる領域が有るのも事実です。

海外のリークやマッキン、IPC、WEの著名なアンプをお手本に日本の音を探してみると、いろんな疑問にぶつかります。
押し付けられた良い音と言うものを聞かされるほど、マニアにとって苦痛はない様ですが、自分の音以外は認められないマニアも多い事も事実なので、異常なバランスの音を楽しんでいる事は極あたりまえの世界なのかもしれません。
コンサートホールのモッタリ感や、演奏者の気迫まで再現しようとすれば、周波数や歪みの他に位相の分野に手を付けねばなりません。
とりもなおさず出力段時定数からスタガー比の検討が必要になりますが、そこ迄検討されたアンプ設計書を殆ど見かけないのも不思議です。
...と書けばもっともらしいのですが、よくコンサートは出かけますと言うマニアの音を聴かせてもらうととても良いとは言えない音を平気で悦に入っているマニアがおられるのも現実です。
さすれば、マニア族には良い音を定義する事は不可能に近いのかもしれません。そこで極一般的に、オーディオに興味がない人たちの良い音が、平均的レベルで良い音、と言えるものの様ですと理解しました。
真空管アンプから、いつも感動と明日への力をもらっている私です。若い頃はいい音のアンプに出会ったときに、これはいいと思っても、次の日がくると、いつもあの素晴らしい音はどこに行ってしまったの?と感じることがほとんどでした。それはまだ未完成アンプのせいと気がつくのには、だいぶ年を重ねてきてしまいましたが、計算と試聴と擦り合わせが大切はモノズクリの基本でした。


しかしそれは、巡り会ったアンプの大半が見せかけだけの高性能アンプでクオードやリーク、ipc、ランジバンなどのアンプとはとても比べ物にならないものだったから気ずいた部分も有ります。
6L6、KT−88、EL34などは素晴らしい適切な帰還をかけれ、すりあわせをした凄いアンプに巡り会えるはずです。
アンプだけで良い音が出るモノでもありません。部屋やプリ、音源のバランスがかなり影響する事も解ります。
何より大切なのは、本人の音のセンスがとても重要です。
足の踏み場もない煩雑な仕事場を、オーディオの真空管アンプは、回路は単純でも設計の基本を外せばこれまた難しい。良い音など到底望めないから面白くてアンプ製作がやめられない。これは癖なのか?造るのが好きなのか?こんな煩雑な作業場が居心地がとても良い。少しの体調不良などは、ここの匂いを嗅ぐと元気になってくるから不思議なものだ。
WEやJBL、シーメンス、タンノイなどのように電圧変換機を造ってきたメーカーのスピーカーを、軽々とならしきれないアンプはまだ半人前と今は思っていますし、確信に近い。大きな音やクラシックなどのダイナレンジの大きいソースをかければ、すぐにねを上げてしまいそうになる。だから“無帰還アンプほどしっかり造らねばならない”と感じるこのごろ。
いまはNFをかければ、見かけ上の特性は仕上げることが出来るのですが、回路の動作が変わるのではなく、見かけ上よく見えると言う事です、感動と新鮮な出会いは苦労した分大きい感動に出会える。
適切なNFを掛ければとても感動する音に出会うことも確かです。これにはかなりの技と知識と位相特性の良いトランスが必要になります。
3極管と無帰還アンプの難しさを感じさせられた集大成に近いアンプです。この先はプレートチョークの素晴らしさしか残っていませんが、これも時定数やヒーター回路にミスマッチがあると良い音は実現しないシビアなものが無帰還アンプ。
アースの引き回しなどは序の口でこれをマスターしてないアンプは音が濁るし、電源回路のバランスを崩せば音がぎらつくしいろんな難門がおおい無帰還アンプ。それでもうまく行ったときの音はプッシュともシングルとも区別がつきにくいほど素晴らしい。
良い音は、ほんの一部の運がよいヒトのところにやってくるようです。嫌そうではなく音に対する見識のある方に女神は嫁いでくるに違いない、とつくずく感じるほどいろんな現場を踏んできてしまいました。
こんなに良い音が出ている機械なのに、ある方のところでは全く想像できないくらいひどいと感じたり、その機器が別の方のところでは素晴らしい音と感じたり、使用する方の環境次第でこんなに変わるものかといつもがっかりしたり喜んだりことが多かったですが、それは苦手とする位相関係の試聴に踏み込んで行けなかった愚かさでした。
今度の回路はそれを完全に払いのけてくれそうです。
Trans製作
試作は手巻きの方が早い。
どんな巻線?
回数、コイルの数など詳細を検討。


ウエスタンのトランスを分解して組み直しました。これは特殊巻き方をしました。音の醸し出す雰囲気は別ものの感じがする、今度、特殊巻き線をEIの普通のコアーで試してみたい!
やはり昔のコアーですね歪みが多い。
これがWEを好きな方には良いらしいが今のソースは綺麗なのでこれは少しかわいそう。
ファインメットはとても加工が難しそうで、今迄のカットコアーの様にうまくは行かない。どうしてもうまくギャップが埋まらないので、当然コアー性能は良いのですが、まるで空芯コイルに近いインダクタンスしか取れません!この音を試聴すれば当然耳でも判別付くぐらい違うはずです。

トランスで鉄心の影響が少なくなれば歪み感がにと言うか力感がない(泥臭みがない)澄んだ音しか出ないのはネットワークコイルなどにも共通する音がしますね。
オーディオトランス用コアーなどを採用して、高額なトランスを製作するトランスメーカーが有る様ですが、材料屋さんに聞いてもそのようなコアーは知らない、もしくは取り扱っていませんの答えが帰ってきました。
ちなみに板厚の厚いコアー材料と薄いコアーを使用して、音のちがいは?と実験しましたが殆ど聞き分けできませんでした。(コイルは同じ巻き方です)
巻き線行程
太めの線はゆっくりて巻きします。ダブルコイルやダブルコアーも面白い、基本的にはコイルはあちこちに分けない方が楽しい音がします。(もっと測定値を検討したいのですが時間がたりない)


簡単な作業ですが、いろんなところに奥深い技術が潜んでいます。

こんなかわいいトランスも作りましたが、よく見てみると有名なL社のトランスよりも、中身の比較だとこのトランスの方が大きいような気がします。
新しい実験結果がでましたらまたご報告します。
